昨年の7月上旬、東進学教室と東進予備校の共催で「こんな子が受験を制する」というテーマの下、進学セミナー(本年も開催予定)を開催致しました。東進予備校の御父兄はもちろん、大学入試を射程に学習している東進学教室の御父兄にも多数ご参加頂きました。そんな中、御父兄の関心・注目の一つは現在の大学入試制度の多様化にあったようです。少し驚いた様子(自分たちの時代とは違うぞ)が私には見受けられました。
現在の大学入試は従来の入試方式以外に「センターテスト」の結果のみで判定など多様化しています。例えば、私学の雄である早慶では従来型の一般入試のみの受験は慶應の経済学部・医学部しか存在しません。また、大学によっては同学科において複数回の受験が可能となっています。受験生にとってその門は大きく開かれていると言えます。しかし、それが故のマイナス面もあります。将来を見据えず、合格し易い科目で受験する傾向(理系で物理を選択しない等)があることです。
そして、入学した学生の質にも問題があるようです。昨今、「学力試験で意欲や個性は測れない」という掛け声の下、学力を問わないAO入試が盛んに導入されました。しかし、AO入試での合格者が一般入試の合格者より成績がふるわず、新入生の3割に補習をしていたり(新聞記事より)、一般入試の合格者においても、例えば西の雄である京都大学のある学部では120人のうち4割(例年1割〜2割)が単位認定の基準点に達せず、先生が愕然としたという感想を洩らしています。おそらく、入試制度の抜本的改革が近い将来行われるでしょうが、これでは科学立国を目指しているこの国の未来はどうなるのか、疑問と不安を感じているのは私一人ではないはずです。
また、世の中に目をやれば、企業がグローバルな競争に生き残っていくために今後ますます大企業の統廃合がすすむと考えられます。管理体制が充実し、かつ上場企業の「キリン」と自由闊達な社風(社員の中から芥川賞・開高健、直木賞・山口瞳が出るという!)でオーナー企業である非上場の「サントリー」が経営統合に向けて動き出すと誰が予測できたでしょうか。(今回は統合は見送られたようですが。)また、日本経済のリーダー的存在であった「大手」と呼ばれた銀行20数行も、段階的な合併劇を繰り返した末、今やビッグバンク3行に絞られています。
こうした厳しい情勢を鑑み、私は平素生徒諸君に次のように話しかけています。「誰にも負けないこと(技術)を一つやり通せ。そして外国語は英語はもちろん次世代に台頭してくると思われる国の言葉(私でしたらベトナム語)をマスターすること」と。「東」では小中学生には勉強態度、集中力の涵養を第一に掲げ、誰もが普通に努力すれば公立トップ校に合格できるよう指導してまいりました。しかし東進予備校の高校生には、志望大学、学部決定の際には将来の職業を視野に入れることを指導の大きな要件としております。それは、大学を名前だけではなく内容で選ぶことになります。つまり本人の個性・能力を十分に伸長してくれる大学を選択してこそ大学で学ぶ意味があると考えるからです。
「東」の創世期の生徒諸君は今や社会の中堅、トップとして各分野で活躍しております。時折「東」を訪問して下さる方や、電話で最近の状況を報告して下さる方も多くいらっしゃいます。彼等の心に「東」がいつまでもあることを嬉しく思います。
今後日本は年金問題・終身雇用の崩壊・財政難等難問が山積しています。これから未来を生き抜く生徒諸君のお手伝いが少しでもできるよう職員一同精一杯努めてまいります。