学習においても人生においても
100%の成功も100%の失敗もないはずです。
理事長 渋谷 和男
2009年の12月末から正月にかけて実施された冬期講習で、3学年を担当致しました。その教材(国語)の内容には、オゾン層の破壊に関するものや「イースター島の教訓」(椰子の森林が人間の入植後わずか1,200年で完璧に破壊された)、また「異常気象」について書かれた文章がとりあげられ、現代に生きる私たちに発せられた厳しい警告を生徒諸君と共に考えさせられました。
聡明なある生徒は「近い将来、地球はいったいどうなるのか」との不安を私に訴えましたが、私の知識では明確に答えることはできませんでした。とりあえず「環境破壊は加速度を増すので今までの経験では到底予測不可能だろう。そしてその克服には皆さんの科学知識や科学的思考が必要となる」と答えましたが、12月なのに気温は常に14℃〜15℃、温暖化などという生やさしい言葉で片付けられる現状ではないことを身をもって感じました。
環境問題と同様、子供を巡る状況も劇的に変化しています。他府県の動向をみると高校入試の前期試験は廃止の方向に進み、また2002年から導入された「ゆとり教育」は、実施後わずか10年で廃止が決定されました。数学は3年間で315時間から385時間に、理科は290時間から385時間に増えるそうです。東進学教室では、「ゆとり教育」が導入されても削除された「二次方程式の解の公式」や「イオン」をカリキュラムから外しませんでした。創立以来の「大学入試をも射程にいれた運営方針」に基づき、東京を始め大都市のトップ校と同様のカリキュラムで指導してまいりました。その結果、大学入試では他塾を大きく引き離す素晴らしい実績を上げることが出来ました。最近の新聞記事によると、「ゆとり教育」で育って私大に入学した生徒の2割が「計算の時に掛け算・割り算を足し算・引き算より優先する基本的なルール」を理解していないそうです。少子化社会に移行することが予想できたこの30年間で私立大学数が600校と倍増したこともその一因でしょうが、「ゆとり教育」の影響が大きいことも否定できないでしょう。私は、彼等が厳しさを増す一方の社会でどんな人生を送るのか大きな不安を感じております。
現在、東進学教室には第一期生のお子さん(私にとっては「孫」的存在)が多数通塾しています。心から感謝を申し上げると同時にその期待に応えるべく精進を続けています。私たち講師陣は生徒ひとり一人のニーズを把握し、指導力を一層強化していく所存です。東進学教室の指導方針の根幹は「良き授業態度及び集中力の涵養」と「失敗を克服し成功を活用する能力と精神力の構築」です。学習においても人生においても100%の成功も100%の失敗もないはずです。私の経験からいうと、30%程度の失敗と成功があると思います。失敗の克服と成功の活用ができれば、これから先の人生を乗り切ることはそう難しくありません。
余談ですが、講習中、子供たちが「ラグビーの大学選手権をお父さんと見に行く」「大相撲の初日、日馬富士を応援に行くよ」と私に話しかけてくれました。生の試合を見ることで子供たちに夢と希望が与えられ、またご両親とのスキンシップが密になります。そして子供たちが大人になった時にこのことを懐かしく回想することでしょう。年末に家で杵で搗いた餅を生徒全員に持ってきてくれた心優しいお子さんがいました。50年以上前に少年時代を過ごした私には何とも懐かしいシーンでした。経済的には貧しかったけれど心だけは豊かだった時代に育った私たちにとって「勉強」することは夢をかなえる唯一の手段でした。21世紀の厳しい国際社会において、資源のない日本の生き残る道は、ひとり一人が「心を豊かにし、一生懸命勉強する」以外にはないのではないしょうか。
「東」は今年も前期高齢者の私を筆頭に、生徒諸君と共に頑張っていくつもりです。